「この馬は執念で産ませた1頭です」とグランデファーム代表の衣斐浩さん。中京競馬場の芝2000m戦で2歳コースレコードをマークし、3000mの万葉Sで後方一気を決めたマカオンドール、そして1200mのアクアマリンSに勝ったレディバランタイン。ノーザンファームで繁殖牝馬として過ごした10年間で僅か5頭しか仔には恵まれなかったが、うち2頭がOP馬となったミリオンウィッシーズは間違いなくA級の繁殖牝馬だ。
　「（ミリオンウィッシーズは）ノーザンファームの吉田勝己代表が2012年タタソールズ社の繁殖牝馬セールで買い求めた馬です。祖母がマキャベリアンの全妹で、この母系からはファンディーナやナムラクレアが出ました。縁あって譲り受けることが出来たのは幸運でした」と衣斐さん。そうして、配合に関しては一家言持つ衣斐さんが選んだのは“未完の大器”シルバーステートだった。「シルバーステート産駒でヘイローのクロスを持つというのはウォーターナビレラやセイウンハーデスと同じで、中距離のスピード馬をイメージしたのですが、最初の年は不受胎でした。2年目もシルバーステートを配合したのですが、なかなか受胎してくれませんでしたが、これが最後と思った6月16日の種付けでようやく受胎させることが出来ました」と衣斐さん。しかし、受胎している筈の仔は、予定日を過ぎてもなかなか産まれず、産声を上げたのは予定日から1か月近く過ぎた6月12日だった。
　グラッド22は8月末現在、馬体重は408キロ。生まれが遅い分、成長途上だが、その馬体はバランスが良く、柔らかい筋肉としっかりした骨格の持ち主であり、手先が軽く、後躯の踏み込みの良さが目立つ。成長を見極めながら育成カリキュラムが組まれる予定だが、8月後半から初期馴致をスタートさせ、9月中旬にはBTCの坂路で19-18を乗られているように順調だ。
　「会員の方々と喜びを共有したい」という衣斐さん。その思いを乗せて堂々のラインナップだ。