この春、馬産地で最も注目を集めたのがスワーヴリチャードだ。初年度の血統登録頭数は82頭と決して多くはなかったが、昨年そのうち62頭がJRAの2歳戦でデビューして20頭で25勝。収得賞金では2位のブリックスアンドモルタルに2倍近い差をつけて新種牡馬チャンピオンに輝いた。その最大の特徴は牡馬の勝ち上がり率の高さだ。2024年5月31日現在、初年度産駒の牡馬に限れば、中央でデビューした31頭中15頭が勝利しており、勝ち上がり率はほぼ5割。これは凄いの一言だ。
　グラッド13は、母の初仔で、かつ4月生まれということもあって、6月上旬現在、馬体重は365キロと小柄だが、恵まれた骨量とバランスに秀でた好馬体が強く印象に残る1頭。5月中旬に生産牧場からMAXトレーニングFへ移動した後も、環境の変化に戸惑うことなく食欲も旺盛で、生産牧場では冬期を含めた通期昼夜放牧と馬には厳しい環境で管理されてきた分、季節の良くなるこの後、青草を食わし込むことで、一気に成長してきそうな気配がある。気性は人に素直で表情も穏やか。普段からの振る舞いも落ち着きがあり、将来は馬群の中でじっと息を潜め、鞍上の意のままにゴール前で抜け出すシーンが目に浮かぶ。
　祖母は社台Fがファッシグティプトン社のミックスセールにおいて100万ドルで購入したレニーズゴットジップ。ダッシュ力とスピードを武器に、サンタイネスSとランチョベルナルドH（レコード勝ち）の2重賞を勝ち、ブリーダーズCターフスプリント2着を含むGI2着4回の活躍馬だ。
　「現状は小柄ですが、飛節や繋は、とてもしっかりしていますし、ここまでバランス良く成長していると思います。この夏の間にしっかりと青草を食わし込んで身体を成長させて、秋以降の育成開始に備えたいですね」とMAXトレーニングF代表の中脇光さんが大いに腕を撫している。