最初の仔をお産時の事故で失うという悲しみを乗り越えて、アイビスSD、ルミエールAD、韋駄天SとOPクラスの3つの直千競馬で2着したカッパツハッチが、母親となってクラブへと帰ってきた。
　母のカッパツハッチは、会員の皆様には馴染みの深いメイショウユウゼンの仔。カッパツハッチの他にも、タツミリュウ、現役活躍中のOP馬ハチメンロッピ、ここまで3戦2勝のオーブルクールと、スピードを武器に高いレベルで活躍馬を送り続けるファミリーだ。
　「カッパツハッチのスピードに、もう少しだけ適性の幅を広げたくて」と中島牧場代表の中島雅春さんが2年続けて配合相手に選んだのは、名牝イマジン×米三冠馬アメリカンファラオの2020年全欧2歳牡馬チャンピオン・ヴァンゴッホだ。仏サンクルー競馬場で行われた2歳牡馬チャンピオン決定戦のGIクリテリウムアンテルナシオナル（芝1600m）では、深い馬場をものともせず図抜けた瞬発力を発揮して4馬身の圧勝で戴冠。現役引退後、2022年シーズンよりイーストスタッドで種牡馬入りした新種牡馬である。
　募集本馬ヒーロー10は、ご覧のようにまだ極端な腰高で幼さをたっぷりと残す馬体ながら、パワーを感じさせる尻全体のボリューム感が見る者を圧倒する。「ユウゼンの仔は、どの馬も大きく育ちます。母としてのハッチにも、その確かな成長力は受け継がれている筈なので、本馬もきっと大きく育ってくれると思います」と中島さんが胸を張る。
　「母親よりも少しおっとりとした性格で、動きは柔らかさと力強さを兼ね備えています。イメージ通りの馬です。カッパツハッチはあと僅かのところで重賞タイトルを逃しましたが、お母さんの“忘れ物”を、この仔で獲りに行きたいですね。ヴァンゴッホはとても期待の大きな種牡馬ですし、その父親の背中を後押しできるような存在になって欲しいです」と中島さんが、母の周りで活発に遊ぶヒーロー10の姿を見つめながら力を込めて言葉を結んだ。