広大な谷川牧場の1歳中期育成用の放牧地。恵まれた筋肉に派手なソックス、そして、大流星。ディープスカイ産駒の本馬は、遠くからでも分かるほど存在感をアピールしている。
　まだ頼りなさがあった当歳募集開始時から約7ヶ月。がっしりとした骨太の馬体と雄大なトモにアグネスタキオン系らしさがよく表現されている。「マスカラーダ自身が大きな馬ではなく、初仔も小さかったですが、この馬は中型以上になってくれそうです」と谷川牧場代表の谷川貴英さんもその成長ぶりに目を細める。「この馬は牝馬ではありますが、どちらかと言えば父親に似ていると思います。馬体に伸びがありますし、夜間放牧を始めてから身体に幅が出てきました」と、馬体の充実に胸を張る。
　前肢が伸びて、後躯の踏み込みが深い。健康な節々。短い背は筋力を推進力に変え、そして身体全体を使って動く姿がとても力強い。集団放牧の中では勝気な面を覗かせており、心身ともに競走馬として必要なものを備えている雰囲気だ。
　抜群の瞬発力を武器にNHKマイルC、そして日本ダービーを制したディープスカイの初年度産駒。スピード、スタミナ、瞬発力、持続力をバランス良く兼ね備えた父に対する期待は高く、昨年のセレクトセールでは4,700万円で落札された牡馬を筆頭に、5頭の上場馬すべてが売却された。
　母系は欧州の名門ファミリー。この春準オープンを人気に応えて快勝するなど売り出し中のニシオドリームをはじめ、日本でもその枝葉を広げようとしている。成長ぶりに自信を深めている谷川さんの「血統に恥じない活躍を期待します」との言葉が心強い。