期待に違わぬ活躍を見せるブラックタイド産駒の牡馬が、1歳10月募集馬としてロイヤル世代に加わった。
　ブラックタイドはご存知ディープインパクトの全兄。競走成績は遠く及ばないが、優秀な血統を買われて2008年にスタッドイン。言葉は悪いが弟の“代替種牡馬”として、毎年150頭近い配合相手を集めると、初年度産駒のテイエムイナズマがデイリー杯2歳Sを制覇。ファーストシーズンサイアーランキング1位の座にも輝いた。今年デビューの2歳世代からもOP特別のコスモス賞を快勝したマイネルフロストが登場しており、今後も目が離せない存在だ。
　「正直なところ、本馬は8月のサマーセールに上場した馬で、問い合わせも何件かいただきましたが、出来にはかなり自信があったので、妥協してまで売るつもりはありませんでした。結局、値段的に折り合わず、だったらクラブへ提供して会員の皆様に楽しんでもらった方がと思った次第です」と村下農場代表の村下公典さん。その指差す先にはサンデーS系特有の薄い皮膚に覆われた募集本馬ロイヤル21がいた。
　雄大な馬体ながら、品のある優雅なラインで形成されたロイヤル21。父ブラックタイドはディープインパクトよりも一回り以上大きな馬格を誇り、当歳時のセリでは全弟より3,000万円も高い1億円超という高値がついた馬だったが、本馬の姿はその父を彷彿とさせる。肩や背中、そして腰周りには良質な筋肉が備わり、骨量も十分。肩の出も良く、ストライドの大きな走りによってスムーズに加速していく様は、ディープインパクト産駒にも見られる特徴だ。
　「粕谷昌央調教師もひと目見て『これは素晴らしい馬ですね』と絶賛してくれました。イソノルーブルの孫であるモンストールが昨年重賞を勝ちましたが、この馬でさらに母系の優秀さを証明したいですね」と村下さん。裸足のシンデレラと呼ばれた名牝への思いを胸に秘め、期待を込めて言葉を結んだ。